• オーダーメイド臓器モデル

久留米大学医学部放射線医学教室様 IVRモデル

▶ 概要


IVRはインターベンショナル・ラジオロジー(Interventional Radiology)の略で、X線透視やCTなどの画像でからだの中を見ながらカテーテルや針を使って行う治療です。
IVRは、外科手術のようにおなかや胸を切らずに、体の奥にある臓器や血管の治療ができる方法です。そのため、患者さんの体への負担が圧倒的に少ないという特徴を持っています。
IVRを安全に実施するためには、高度な技術が要求されます。研修医や若手医師のトレーニングを目的とし、主任教授田上秀一先生よりご依頼をいただきました。


▶ モデル製作のポイント


血管走行を臨床に即したものとするため、先生よりご支給いただいたCTデータをベースに設計しました。使用目的(腎動脈・腹腔動脈・総頚動脈へのカテーテルアプローチ、及び、シース挿入手順の確認)に応じて必要最小限の表現範囲とし、水や疑似血液などを使用しないドライな環境下でも簡便にご使用いただけるよう、硬質透明樹脂で製作しました。穿刺部に市販の塩ビシートを活用することで、ランニングコストを抑えたご提案をさせていただきました。が浮き上がるよう製作しました。

▶ 先生のご評価


現在の臨床現場においてIVRの担う役割は年々大きくなり、IVR医の教育は非常に重要です。近年ではトレーニング用の血管モデルやシミュレーターも普及しつつあり、実践的な教育に有効ですが、そのような備品はスキルスラボ等のトレーニング専用の部署に設置されている施設が多いと思います。今回の血管モデルを制作依頼した目的は、現場で医学部生や若手医師が実際のIVRを見学した際に、血管造影室あるいはその近くの机上にすぐにモデルを出して、臨床の印象が薄れないうちにカテーテル操作を実践するといったシームレスな教育をイメージし、簡易的で可搬性に優れたものを作ることでした。本モデルは硬質素材で弾性はありませんが滑りは良く、内腔を潤滑剤や液体で満たす必要はありません。カテーテルの大動脈1-2分枝への誘導のトレーニングに有効に利用できています。また簡易的な分、コンパクト且つ軽量です。さらにシース挿入部は開口部をシートで覆い、穿刺・シース挿入から行うことができます。シートは自前で安価な塩ビシートであるため、穿刺で破損が進んでも安価に手に入れて自分で交換することができます。使用感には非常に満足しています。